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浴槽について基礎知識
バスルームをプランニングする際に、まず考えるのは浴槽(バスタブ)ではないでしょうか。浴槽には、さまざまなタイプや形状がありますし、それらをどう設置するかによっても、日々の使い勝手や空間イメージが大きく変わるものです。
浴槽には3つのタイプが。主流は和洋折衷
浴槽(バスタブ)の主なタイプには、大きく分けて和式(和風)、洋式(洋風)、和洋折衷の3つがあります。主流は和洋折衷タイプで、デザインや価格など商品バリエーションが多く揃っています。浴室空間のプランや家族構成、入浴スタイルを考え合わせて選ぶようにしましょう。
■和式(和風)

和式タイプの浴槽の基本的なサイズは、幅が80~120センチ、高さ(深さ)は60センチ程度のもの。比較的深さがあり、膝を折って入浴するタイプで、肩までしっかりつかりたいという人向けです。高さ(深さ)があるため、またぎ込む時には注意が必要でしょう。
同じ湯量であれば設置する面積が小さいので、比較的小さめのバスルームに向いています。
■洋式(洋風)

洋式タイプの浴槽の基本的なサイズは、幅が120~180センチ、高さ(深さ)は40~45センチ程度。寝た姿勢で入浴するタイプの浅く長い浴槽です。身体が浮かんでしまったり、肩までつかれないと寒く感じたりすることも。大きめのサイズのものが多いため、ある程度広さのあるバスルームの方がいいでしょう。
入浴時に身体に無理な圧迫がなく、介護が必要な場合でも高さが低いので入浴させやすいというメリットも。ただ、立ち上がりにくく滑りやすいので、滑り止めや手すりなどが必要です。
海外メーカーの商品はこのタイプがほとんどですが、商品によっては日本向けのモデルを用意している場合もあります。
■和洋折衷

和洋折衷タイプの浴槽の基本的なサイズは、幅が110~160センチ、高さ(深さ)は60センチ程度。浴槽に深さがあるので肩までつかれることができますし、ある程度、身体を伸ばすことも可能です。
和式と洋式の浴槽の長所を合わせたタイプといえるでしょう。
メーカー商品の多くはこのタイプですし、システムバスに搭載されている浴槽もこのタイプがほとんどです。大きさや素材、価格もバリエーションが豊富なので、選びやすいタイプといえるでしょう。
さまざまな形状の浴槽も
最近は上の3つのタイプを基本とした、さまざまな形状の浴槽がみられるようになりました。広がりを持たせるようなカーブを持つ浴槽、半身浴ができるようなベンチがあるもの、子供と一緒に入浴しやすいような形状のものなどもあります。また、デザイン性を高めた浴槽、円形や扇型など、用途や空間プランにあわせて選ぶことができます。
バスルームが単に身体を清潔にする場所だけでなく、疲れを癒しストレスを発散させる場であったり、子どもとのコミュニケーションを深める場となっていることから、より心地よさを追求した浴槽が増えてきているように思います。
浴槽のタイプ
和式 | 長さ80~120cm 深さ45~65cm |
狭く深いのは、腰をおろした状態で肩までつかるという入浴姿勢に基づいているため。リフォームに際して設置スペースが広くとれない浴室には最適の浴槽です。 |
---|---|---|
洋式 | 長さ120~180cm 深さ45cm前後 |
仰向けに寝た姿勢で入るために広く浅く作られたバスタブ。広い設置スペースが必要。介護が必要な方の入浴には介護がしやすい半面、滑りやすい・立ち上がりにくいなどの問題点があるため、手すりをつけるなどの配慮が必要です。 |
和洋折衷 | 長さ110~160cm 深さ60cm程度まで |
和式・洋式の間をとった、座れば足を延ばせるサイズ。ユニットバスに使われる浴槽としては一番オーソドックスなタイプです。浴室リフォームの際にこの折衷型にするご家庭も増えています。 |
その他 | 円形バスタブ、半円形バスタブなど、長方形以外のバスタブも最近はバリエーションが豊富になってきています。豪華感と角がないという安全性が注目されている理由です。 |
浴槽の素材
利点 | 注意点 | |
---|---|---|
FRP(ガラス繊維強化プラスチック) | 保温性・耐久性・耐衝撃性が高く、肌ざわりにもぬくもり感がある。カラーバリエーションも豊富で価格も手ごろ。手入れは簡単。 | 汚れが目につきやすく、高温に弱いため空焚きには特に注意要。 |
ホーロー | 独特のなめらかな肌ざわりと美しい色合いが人気の理由。お手入れは比較的簡単。価格はFRP・ステンレス等より高め。 | 表面に傷がつくとサビの危険。保温性を高めるためには保温材のカバーが必要。鋳物ホーローの場合は重量があるため、リフォームで階上浴室とするには不適。 |
ステンレス | 高い耐久性と保温性が特長。傷やサビにも強く手入れも簡単、価格も手ごろ。 | 肌ざわりの金属感に抵抗のある方も。見た目が無機質なため、浴室リフォームで華やかさやぬくもり感を演出したい場合には不向き。 |
人造大理石 | 商品バリエーションが多いため、サイズ・色合いの選択肢が多い。価格帯の広いため、予算に合わせての選択肢も広い。お手入れも簡単。 | メーカー・商品によって品質に差異があるため、見極めが大事。なお、ポリ系はアクリル系より耐久性・耐衝撃性で若干劣る。 |
木製 | 檜に代表される純和風イメージの浴槽。保温性・耐衝撃性が高く、木材独特の心地よい肌ざわりが人気の理由 | 木材の品質や材質によって耐久性などに大きな差異が生じる。 |
タイル | 形状がオーダーメイドできるため、個性的な風呂づくりには最適。 | 肌ざわりの冷たさ、目地の手入れのめんどうさが気になるタイプ。 |
浴槽の選び方
リフォームで新しい浴槽を選ぶ際には、下記の点をチェックしましょう。
◇浴槽を設置するためのスペースの広さの確認。
◇入りやすさ・出やすさに加え、すべる危険性の予測など安全性の検討。
◇肌ざわりなど材質感に対する感覚の好み。
◇階上に浴室を新設する場合には、水漏れ対策や荷重の確認。
◇リラックス空間としての視覚的(=デザイン・色彩)な快適さ。
◇予算面からの検討。
参考のサイト
浴槽の設置方法も3つ
浴槽の設置方法も、据え置き型、埋め込み型、半埋め込み型と3つに分けることができます。設置の仕方によって浴室のイメージも使い勝手も大きく変わります。
■据え置き型

床面に浴槽を据え置く方法。以前は多くみられましたが、最近では少なくなってきているようです。リフォームの際に、浴槽の交換が簡単にできるというメリットがあります。
個性的な使い方として、洋式のバスタブをオブジェのように設置したり、温泉旅館のように木製浴槽を据え置いたりと、こだわりの空間を生み出すアイテムとして用いられるケースもみられます。
■埋め込み型

床面と同じ高さまで浴槽を埋め込む方法。空間に広がりを持たせることができるのがメリット。
ただし、洗い場スペースと埋め込んだ浴槽が近いと、石鹸の泡や汚れた湯水などが浴槽に入ってしまうことも。また、埋め込まれた浴槽の底と洗い場の床の段差が大きいので、子供や高齢者のために手すりを設置するなどの配慮が必要でしょう。
■半埋め込み型

立ち上がり部分は、エプロン(浴槽の外側の部分)やタイルとなるので、湯水も流れ込まず衛生的です。
一般的なシステムバスの場合、和洋折衷型の浴槽を半埋め込み型にするタイプが多くみられます。
タイプにあった設置方法を

家族構成や入浴スタイルによっても配慮が必要です。高齢の方がいらっしゃったり、介護が必要な場合は、半埋め込み型が向いているでしょう。腰をかけるスペースを設けることで、浴槽の出入りがしやすくなる場合も。使用する人に合わせたプランニングをするようにしましょう。
メーカーからは、さまざまな浴槽が提案されていますが、タイプによっては設置方法が限られる場合もあります。
どんなバスルームにしたいのか、早めに設計担当者に伝え、浴槽のタイプや形状、設置方法を考え合わせながら、プランニングをするようことが大切です。もちろんショールームで浴槽の特徴を確認するのを忘れずに。展示されている浴槽に身体を沈めてみて、その形状を体感してみることをおすすめします。